女化け神社の狐

船橋1

  女化け神社の狐
  船橋に女化神社という神社があります。名前だけ聞くと?っとなる方も多いと思います。           
  その名前の由来にはこんな話が伝わっています。                             
  昔、神社には年若い神主がいました。彼はまじめでありましたが、貧しく、食べ物もまかなう事ができず、回りの人々の好意で生きていました。                                      
  ある日の事、一人の女性が神社に現れ、神主の女房になりました。彼女は働き者で、神社は豊かになりました。
  幸せな日々が続くと思われたある日の昼下がり。神主は見てしまったのです。仕事で疲れて眠っている彼女から生える黄色い尾を。                                            
  彼女はそれに気付き狐の正体を見せると野に消えていったのです。しかし彼女のお陰で豊かになったことを記念し、女化け神社となりました。                                       
  もっとも実際は女化稲荷というのが竜ヶ崎市の方に伝わっており、その伝説が地元の民話として伝わってしまったもので、これは神主と狐の間に子供ができているところが違っています。                   
  このような狐が嫁入りして福をもたらす話は各地に伝わっています。もっとも有名なのは安倍晴明ですね。彼の母は信田の森の狐で、婚約者に成り代わり妻となる話です。                          
  実はこの話そのものは、平安時代の『日本霊異記』に記されている「狐を妻として子を産ませた話」と同じものです。奈良時代に生まれたこの話は、謎の女が妻になり、裕福になるも、正体がばれて消えるという骨格は同じです。ただ、他の話と一番の違いがそこに狐という言葉の由来が記されている所です。                
  他の話では「化生のものは一度姿を変えると二度と姿を見せぬことはできませぬ」と去っていくのに、こちらの狐は旦那さんの「いつでもきて泊まりなさい」という言葉に、夜は戻ってきたのです。それを見てその子は岐都禰(来つ寝)と名づけました。そしてその子の姓は狐直(きつねのあたえ)となり、それが狐の語源になったのです。